トラブルが起きないほど評価されにくくなる問題 〜ひとり情シスの静かなジレンマ〜

少し前の記事で、「トラブルが起きていない状態を維持するのが、情シスの仕事の大半だ」というようなことを書いた。
書いていて改めて思ったけど、これって本当に評価されにくい仕事だなと思う。

トラブルが起きていない。
サーバもネットワークも安定している。
社内システムも特に問題なく動いている。

利用者側からすると、それが「当たり前」になる。
そして、その状態が続けば続くほど、「何もしていない人」に見えてしまう。

ひとり情シスや少人数情シスだと、特にそれを強く感じる。
ずっと机に向かって作業していても、傍から見ればただパソコンを触っているだけ。
何をしているのか、何のためにやっているのかは、ほとんど見えない。

自分でも、「これ、周りから見たら遊んでるように見えてるんじゃないかな」と思うことがある。


平常時を守る仕事は、見えない

社内SEの仕事って、トラブル対応のイメージが強いと思う。
実際、トラブルが起きたときは目立つ。

  • サーバが落ちた
  • ネットワークがつながらない
  • 業務システムが止まった

こういう場面では、嫌でも存在感が出る。
電話が鳴り、チャットが飛び、あちこちから呼ばれる。

でも、理想はその状態を作らないこと。
トラブルが起きないように、事前に対策を打ち、設定を見直し、ログを確認し、構成を調整しておく。

結果として、何も起きない。

この「何も起きない状態」を維持するために、地味な作業を積み重ねているのに、
評価軸はどうしても「何か起きたかどうか」になってしまう。

これは、構造的に仕方ない部分もあると思う。


トラブルは、システム障害だけじゃない

一方で、最近意識しているのが、「トラブル=障害」だけじゃないということ。

情シスが関わるべきトラブルって、

  • サーバ障害
  • ネットワーク断
  • システム不具合

だけではなくて、

  • 業務の流れが非効率
  • 手作業が多すぎる
  • 属人化していて引き継げない
  • 手順が複雑でミスが起きやすい

こういう“業務や運用の中の困りごと”も含まれると思っている。

むしろ、日常的に発生しているのは、こっちの方が圧倒的に多い。

システムとしては動いているけど、使い方が最適化されていない。
結果、現場では地味にストレスが溜まっている。

ここにITの視点で首を突っ込んで、少しでも楽にできると、
「トラブル対応要員」から「頼れる相談役」みたいな立ち位置に変わっていく。


「なんか困ったら教えて」が効いてくる

自分の場合、意識的に増やしているのが、
「忙しそうですね」「何か困ってることあります?」みたいな声かけ。

トラブルが起きてから動くと、どうしても後手になるし、
対応もバタバタしてしまう。

それより、何も起きていない平常時に、

「なんかやりにくいところあります?」
「これ、もう少し楽にできそうですけど、どうです?」

みたいな雑談ベースのヒアリングをする方が、結果的にトラブルの芽を潰せる。

最初は遠慮されるけど、何度か対応していると、

「この人に言えば何とかしてくれる」
「とりあえず聞いてみよう」

という認識に変わっていく。

ここまで来ると、仕事が一気にやりやすくなるし、
正直ちょっと楽しくなってくる。


評価はされにくいけど、信頼は積み上がる

相変わらず、目に見える評価が一気に上がることはない。

トラブルが起きなければ話題にもならないし、
改善しても、「前からこうだった」くらいの感覚で受け取られることも多い。

でも、

  • 何かあったらまず声がかかる
  • 相談が自然に集まる
  • 「助かりました」が増える

こういう小さな変化は、確実に積み上がっていく。

数字で測れないし、評価シートにも書きづらいけど、
社内での立ち位置は、確実に変わっていく感覚がある。


インフラの安定が、すべての土台になる

こうした「平常時を守る仕事」を支えているのは、結局インフラの安定だと思う。

サーバが不安定だったり、ネットワークが不安定だったりすると、
どんなに業務改善を考えても、土台が揺らいでしまう。

自分の場合、社内で使う検証環境や管理系のサーバは、
安定性と管理のしやすさを重視して、Xserver VPSを使っている。

正直、派手さはないけど、
「何も起きない状態」を作るという点では、かなり助けられている。

日常業務の裏側で、こういう安定した基盤があると、
余計な心配をせず、現場対応に集中できる。


評価されなくても、やる意味はある

トラブルが起きないほど、評価されにくくなる。
これは、社内SEをやっている限り、たぶんずっと付きまとう問題だと思う。

それでも、

  • 社内が止まらない
  • 現場が少しずつ楽になる
  • 困ったときに頼ってもらえる

この状態を作れているなら、
少なくとも自分の中では「やっている意味」はあると思っている。

派手さはないし、成果も見えづらい。
でも、誰かの業務を裏で支え続ける仕事としては、
これが一番しっくりくる。

今日もまた、トラブルが起きないように、
地味な作業を積み重ねていく。

それが、ひとり情シスの通常運転なのかなと思っている。