なぜ Metabase を選んだか|Excel集計地獄から抜けるために現場と対話した話

前回、 SQL Server 2022 を Ubuntu 24.04 + VPS で業務運用してみた構築ログ を書きましたが、
業務でデータを扱っていると、気づいたら Excel 集計が日課になっている、という状況に陥りがちだと思う。

自分の現場もまさにそれで、
毎日1回はExcelに一覧を出して集計
ちょっと状況確認したいだけでも、
「とりあえずExcelに出して加工」
が完全に習慣化していた。

会議前になると、
「この数字、最新で見たい」
「ここ切り口変えて」
「やっぱり別の集計も」
と変更がどんどん増えていく。

そのたびに一覧出して、Excelに貼って、整形して、グラフ作って…。
正直、かなり時間を持っていかれていた。


Excel集計が積み重なっていく怖さ

最初は軽い作業だった。

「今日はこの数値だけ見れればいい」
「この会議用に一覧があればいい」

そんな感じで、その場しのぎでExcelを作る。
でも、それが毎日・毎週・毎月と積み重なる。

気づくと、

  • 似たようなExcelが大量に増える
  • 計算式がブラックボックス化
  • 「これ誰が作ったの?」状態
  • 修正のたびに作り直し

という、典型的なExcel地獄に片足を突っ込んでいた。

さらに厄介なのが、
システム側に取り込むほどでもない微妙な要件

「画面に表示するほどでもない」
「でも、たまに見たい」
「会議で議題になるかも」

こういうやつをシステム側に実装し始めると、
プログラム修正 → テスト → 配布 → 反映確認
という地味に重たいフローが発生する。

正直、
“見るだけ” のためにここまでやるの、割に合わない。


「見るだけなら、こんなのでよくない?」という提案

そこで一度、考え方を切り替えた。

「作り込む前に、とりあえず“見える形”を出そう」

BIツールと呼ばれる領域になるけど、
ゴリゴリの分析基盤なんて要らない。

目的はあくまで、

  • 一覧をすぐ見たい
  • 切り口を簡単に変えたい
  • 会議でその場で確認したい

この程度。

そこで現場に、

「見るだけなら、こんなのでどうですか?」

と、簡単なダッシュボードを出してみた。

すると、返ってきたのが、

「あ、これで十分ですね」
「開けばすぐ見れるのいいですね」

という反応。

この瞬間、
“集計・確認用途は、システムから切り離せる”
と確信した。


Metabaseを選んだ一番の理由

ここで使ったのが Metabase

選定理由はシンプルで、

  • jar 1本で起動できる
  • 構築がとにかく楽
  • DBにつないですぐ使える
  • 画面が直感的

この4点。

正直、BIツールとして見れば、
もっと高機能なものはいくらでもある。

でも、
この用途にそこまでの重装備はいらない。

むしろ、

「ひとり情シスが、片手間で面倒見れる」

これが一番重要だった。

Metabaseは、
jarを置いて起動して、DBつないで、終わり。
拍子抜けするほどあっさり立ち上がる。

“BI”という言葉の重さに反して、やってることはかなり軽い。


現場との対話で「自分が楽になる方向」に持っていく

ここで意識したのが、
現場と対話しながら、自分が楽になる方向へ誘導すること。

「全部システムに入れます」
「全部自動化します」

と理想論を振りかざすと、
結局あとで自分の首を締める。

だから、

  • 見るだけ → Metabase
  • 入力・更新 → 業務システム
  • 集計 → Metabase側に寄せる

という役割分担を、
自然に受け入れてもらう流れを作った。

実際には、

「プログラム修正しなくても、ここ見れば確認できます」
「その場で切り口変えられます」

と、相手にとってのメリットを前面に出しただけ。

結果的に、
集計系の修正依頼が激減。

これ、かなり大きい。


Excel地獄から抜け出せた感覚

Metabaseに集計・可視化を寄せたことで、

  • 毎日のExcel作業が消えた
  • 会議前のバタバタが減った
  • 急な「これ出して」に即対応できる

という状態になった。

何より、

「またExcel作るのか…」という心理的ストレスがなくなった。

これは想像以上に大きかった。


VPS上での検証と運用

検証環境は、いつものように VPS を使っている。

自分の検証用インフラは Xserver VPS を使っていて、
その上で Metabase + SQL Server + 周辺ツールをまとめて動かしている。

正直、
jar1本のツールなので、VPS側の負荷もほぼ気にならない。

「とりあえず置いて、試して、合えば残す」
この試行錯誤がやりやすいのも、
VPS環境を使っている理由のひとつ。


今のスタンス

今は、

「集計・確認系は、まずMetabaseで逃がす」

これを基本方針にしている。

システムに組み込むのは、

  • 入力が必要
  • 業務フローに直結
  • 権限制御が厳密

このあたりだけ。

それ以外は、
作り込まず、抱え込まず、Metabaseに投げる。

結果的に、
自分の作業量も、精神的負担もかなり減った。


まとめ:現場と対話して、自分が楽になるよう仕向ける

この記事で一番伝えたかったのはこれ。

「現場と対話して、自分が楽になるように仕向ける」

情シスって、
真面目に全部受け止めるほど、しんどくなる。

だから、

  • どうやったら楽できるか
  • どうやったら仕組み化できるか
  • どうやったら丸投げされないか

を、現場との会話の中で少しずつ調整していく。

Metabase導入は、
その考え方がうまくハマった事例だったと思う。

「BI導入」なんて大げさな話じゃなく、
Excel集計地獄から抜け出すための、ちょっとした工夫。

同じように悩んでいる人の、
何かのヒントになれば嬉しい。

なお、Metabase の 実際の構築手順や、VPS 上での運用構成 については、
次の記事で 構築ログとしてまとめています。
「理屈より、まず動かしたい」
「そのまま再現したい」
という方は、こちらも参考になると思います


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