なぜ業務DBに SQL Server を選び続けているのか|Linux + VPS という現実解

前回は、なぜ vsftpd をやめて SFTP にしたのか。Ubuntu 24.04 での VPS 実例ログ をまとめました。

サーバーの基本設定が終わると、
次は業務システムのDBです。

今回、サーバーを見直すことになったとき、最初に悩んだのが「DBをどうするか」でした。

新規構築なら PostgreSQL や MySQL も検討できたと思います。でも今回は、そういう話ではありませんでした。
理由は単純で、既存の業務システムが SQL Server 前提で作られていたからです。

正直に言うと、この時点で選択肢はかなり狭まりました。


既存システムがある、という現実

今動いている業務システムは、長年 SQL Server を前提に育ててきたものです。

  • ストアドプロシージャ
  • 既存バッチ
  • アプリ側の SQL 文
  • 管理画面
  • バックアップ運用

このあたりが、すべて SQL Server 前提で組まれています。

「これを PostgreSQL に移行したらどうなるか?」

ざっと想像しただけでも、

  • プログラム修正
  • SQL 方言の違い対応
  • バッチ全面見直し
  • テスト工数の増大
  • 本番切替リスク

と、技術的には可能でも、業務的にはかなり重い作業になるのが見えていました。

情シスとしては、理想構成を作ることより、業務を止めないことのほうが圧倒的に優先です。

ここで一度、方向性を整理しました。


「移行しない」という判断も、立派な選択

最初は正直、
「このタイミングで DB も刷新できたらスッキリするのに」
という気持ちもありました。

でも、冷静に考えると、

  • 移行によるメリット
  • 移行にかかるコストとリスク

を天秤にかけたとき、どうしても後者が勝ちました。

特に怖かったのが、

  • 想定外の不具合
  • 本番切替時のトラブル
  • 現場業務への影響

このあたりです。

ひとり情シスという立場だと、トラブルが起きたときの「逃げ場」がありません。
最終的に自分がすべて受け止める前提になるので、無理な変化は極力入れないという判断になりました。

結果として、

DB は SQL Server のまま持ってくる

という、かなり堅実な構成に落ち着きました。


SQL Server といえば Windows、という固定観念

次に悩んだのが、OS です。

SQL Server といえば Windows、というイメージがずっとありました。
実際、長年 Windows Server + SQL Server で運用してきたので、その延長で考えるのが自然です。

ただ、今回 VPS 化を検討する中で、

「SQL Server、Linux でも普通に動くのか…」

と知ったのが大きな転機でした。

SQL Server 2022 は Ubuntu 24.04 LTS に対応していて、
Express 版なら CAL も気にしなくていい。

しかも Linux 側は、これまで散々触ってきた環境。

  • 安定性
  • アップデートのしやすさ
  • 再起動の少なさ

を考えると、Windows より安心感があるとすら感じていました。


Linux + SQL Server Express という落としどころ

最終的に選んだ構成は、

  • Ubuntu 24.04 LTS
  • SQL Server 2022 Express

という組み合わせです。

ここで一番大きかったのは、

CAL を意識しなくていい

という点でした。

中小企業だと、ライセンスの説明や稟議が地味に大変です。
SQL Server Express なら、そのあたりの心理的ハードルが一気に下がります。

一方で、管理面については、

  • 管理ツール:SQL Server Management Studio(Windows クライアント)
  • バックアップ:バッチ + SFTP
  • 監視:最低限

という形にして、Windows 時代とほぼ同じ運用感を維持できています。

正直、一度入れてしまえば、日々の管理コストはほとんど変わりません。


実際に1年以上使ってみた感想

この構成で、すでに 1年以上 業務運用 しています。

大きなトラブルはなく、

  • 夜間バッチ
  • 日中の業務処理
  • 定期バックアップ

すべて安定して回っています。

Linux 上で SQL Server を動かす、というと、
「難しそう」「トラブル多そう」というイメージを持たれがちですが、
実際に触ってみると、そこまで敷居は高くないというのが正直な感想です。

もちろん、最初の構築時は多少ハマりました。
でもそれも、最初だけ。

今では、

「これ、本当に Linux 上で動いてるんだっけ?」

と忘れるくらい、普通に運用できています。


なぜ VPS なのか

この環境は、VPS 上で構築・運用しています。
理由はシンプルで、コストと性能のバランスが一番取りやすかったからです。

Windows の VPS は、どうしても料金が高くなりがちで、
業務用として長期運用するには、コスト面の心理的ハードルがかなり大きい。

一方で、Linux の VPS は比較的安価で、
近年は 安定性やディスク I/O、ネットワーク性能もかなり向上 してきています。

「業務システムを載せても問題なく回る性能」と
「毎月の固定費として無理のない金額」

この2点を両立できるラインを探した結果、
現実的な落としどころが VPS + Linux 構成 でした。

その中で、実際に検証・運用しているのが Xserver VPS です。
通信の安定性やレスポンス、ディスク I/O のバランスが良く、
構築段階から現在の運用フェーズまで、特に詰まることなく進められています。

このあたりのサーバ選定の考え方は、以前まとめた
VPS構成を決めるときの考え方」の記事ともかなりリンクしています。


「理想」より「現実解」

今回の構成を振り返ってみて、改めて思うのは、

理想構成より、事故らない構成のほうが大事

ということです。

PostgreSQL に移行していたら、もっとモダンな構成になっていたかもしれません。
でも、その代わりに、

  • 長期検証
  • 膨大なテスト
  • 切替時の緊張感

を背負うことになっていたはずです。

ひとり情シスとしては、
静かに安定して回り続けること
これが一番の成果だと思っています。


今のスタンス

今は、

  • Ubuntu + SQL Server Express
  • VPS 上で安定運用

この形にかなり満足しています。

Linux だから特別大変、という感覚はなく、
「普通に業務サーバとして使える」という認識です。

技術的に正しいかどうかより、
現場で無理なく続けられるかどうか

その観点で考えたとき、
この構成は、今の自分にとって一番ちょうどいい落としどころでした。


この環境の構成まとめ

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