社内WiFiが不安定でクレーム祭りになった日|冗長構成のつもりが逆効果だった話

建物間を有線でつないでいた回線が、経年劣化でついに切れた。

ケーブルを引き直すとなると、距離もあるし工事もそれなりに大がかりになる。
とりあえずの応急対応として、建物間を中継用のWiFiでつなぐことにした。

いわゆる屋外向けの中継WiFiを使って、A棟とB棟を無線ブリッジで接続する構成。
この手の機器はこれまでにも何度か使っていて、動作自体は安定している印象があった。

今回少し気を遣ったのが、障害対策

「どちらか1対が落ちても業務が止まらないようにしたい」ということで、
メインとサブ、2対のWiFi中継機を用意した。

万が一どちらかが落ちても通信が保てるよう、
同じ場所に並べて設置して、冗長構成にするイメージ。

ただ、ループになるのはまずいので、
別棟側ではLANケーブルだけは片側を抜いた状態 にしていた。

これで、
「普段はメイン系統、何かあったらすぐサブに切り替え」
という想定。

設置後、疎通確認も問題なし。
pingも安定、ファイル共有も普通に見えるし、特に違和感もなかった。

「まぁ、こんなもんだろう」と、その日はそのまま様子見。


数日後。

朝から、社内チャットにメッセージが流れ始める。

「ネットが遅いです」
「急に切れました」
「つながったり、切れたりします」

最初は個別のPCの問題かと思っていたが、
どうやら全体的に不安定らしい。

実際に自分のPCで触ってみると、

  • Webが開いたり開かなかったり
  • 共有フォルダが一瞬切れる
  • TeamsやZoomが不安定

確かに、かなり怪しい挙動。

とりあえず、配線と機器の設置状況を再チェック。

電源は問題なし。
リンクランプも一見正常。
電波強度もそこそこ出ている。

設定ミスか?
それともハード不良か?

ログを見たり、再起動したり、
チャンネル変更や出力調整を試したり。

それでも、改善しない。

気づけば、調査に2〜3時間。
その間もクレームは増えていく。

正直、結構しんどい時間だった。


ふと、
「これ、干渉してない?」
という考えが浮かんだ。

今回、同じ場所に 中継用WiFiを2対並べて設置 している。

しかも、ほぼ同距離・同方向。

これ、理屈では
「電波干渉する可能性がある」
と知ってはいた。

ただ、今までの現場経験では、
ここまで露骨に不安定になるケースに当たったことがなかった。

「まさか…」と思いながら、
試しに サブ側のWiFiを完全に停止 してみた。

すると、

ピタッと安定。

Webもサクサク。
ファイル共有も安定。
社内からのクレームも止まった。

あぁ、これか…。


今回の原因は、
2対のWiFi中継機が近距離で設置されたことによる干渉

しかも、無線ブリッジ構成なので、
状況によっては ループ的な挙動 に近い状態になっていた可能性もある。

理屈としては理解していたつもりでも、
実際にここまで不安定になるのは初体験だった。

「冗長構成にしたつもりが、
 逆にトラブルの原因を作っていた」

まさにそのパターン。


今回の件で、改めて思ったのは、

無線の冗長化は、有線よりずっと難しい

ということ。

有線なら、
STPなどのループ防止機構が効くケースも多いし、
経路制御も比較的やりやすい。

でも、無線中継になると、

  • 電波干渉
  • 自己干渉
  • 意図しない経路切り替え
  • パケットの迷子

など、
思った以上に不安定要素が増える。

「予備を置けば安心」という発想が、
そのまま通用しない世界だと、身をもって学んだ。


結局、運用としては、

  • 通常は1対のみ稼働
  • もう1対は完全停止状態で待機
  • 障害時に物理的に切り替え

という、
かなり原始的な方式に落ち着いた。

正直、スマートではない。

でも、
安定して動くことが最優先

ひとり情シス環境だと、
「完璧な冗長構成」よりも
「壊れにくくて、すぐ直せる構成」の方が、
結果的に楽なことが多い。


今回の件は、

  • 無線は便利だけど万能ではない
  • 冗長化は構成次第で逆効果になる
  • 現地での物理構成が意外と重要

という、
基本に立ち返る良い教訓になった。

今でも、新しい現場で
「WiFiで冗長化したい」という話が出ると、
この時のことを思い出して、
構成をかなり慎重に考えるようになった。

経験しなくていいトラブルだった気もするけど、
たぶん、この一件で
無線ネットワークへの見方はかなり変わったと思う。